年頭のご挨拶

2023年01月05日

お知らせ

新年明けましておめでとうございます。令和5年の年頭にあたり謹んでご挨拶を申し上げます。

さて、昨年は、新型コロナウイルス感染症による制限が少しずつ緩和されてきているものの、ロシアによるウクライナ軍事侵攻、エネルギー価格に代表される物価上昇、急激な円安などと、激動の一年でした。このような状況では先を見通すことが難しく、不透明感や不安感が高まっています。その中でも、我々倉庫事業者の足元における課題はエネルギー価格の高騰です。倉庫事業単独で言えば、電気料金の高騰ですが、運送部門を持っている事業者も多く、燃料コストも含めたエネルギー価格全体の高騰が経営上の重しとなっています。

このような状況を踏まえ、当協会では、昨年4月から、自民党の各種会合や政府との意見交換の場において、電力料金の高騰に対する価格転嫁の政府としての取り組みや倉庫事業者に対する支援措置などを要望し、一定の成果を得たと考えています。本件は引き続きの課題であり、その動向を注視しつつ必要な取り組みを行っていく考えです。

また、昨年は当協会が長年要望してきた事柄が実現した年でもありました。

一つは、大型庇に関する建築基準法令の規制緩和です。これは東日本大震災の後から要望をはじめ、ついに今年の4月から実現されることとなったものです。

また、災害時対応として、倉庫事業者に対する非常用電源設備の補助制度も要望しておりましたが、先般成立した補正予算において手当がされたところです。

通常の活動に加え、会員事業者の声を聞いて、今後ともこのような要望活動を行っていきたいと思います。

まだまだ、コロナ禍の状況ではありますが、感染症対策を取りつつ、総会や評議員会、各種委員会活動を通常通り開催してきており、12月の常任理事会では立食による懇親会も開催し、対面でのコミュニケーションの重要性をあらためて実感したところです。

さて、当協会の活動状況についてもいくつか紹介しておきたいと思います。

まずは、当協会のコア活動の一つである教育・研修事業につきましては、集合研修を含む各種セミナーや研修を実施することができました。集合研修では令和4年度は18のプログラムで計121回の開催を計画しており、計画通りとなれば過去最高の回数となります。また、eラーニングの講座数も増えており、新型コロナウイルス感染症をきっかけに、会員事業者のニーズに応えることができたものと考えております。

昨年の新たな活動の一つとして、倉庫業の認知度向上のために倉庫業PR動画を完成いたしました。非常に好評であり、本年は就職活動に活用することを目的としてその第2弾の作成に取り組んでいるところです。

また、会員事業者が活用可能な国の補助制度をまとめた補助金ガイドブックの作成や物流DXを推進するためのガイドラインの作成、周知も行ってきています。これに加え、高齢者雇用促進ガイドラインの作成にも取り組んでおり、来年度末を目途に完成させる予定です。

さて、今年の最大の仕事は、なんといっても税制改正です。

「倉庫用建物等の割増償却」ならびに「倉庫等に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例」いわゆる「倉庫税制」の延長に加え、軽油引取税の免税の延長も要望する年となっています。しかしながら、「倉庫税制」については、税務当局から強く廃止を求められてきており、まさに正念場を迎えます。極めて厳しい折衝が予想されますが、国土交通省のご指導を得ながら税制特例措置の延長を実現していきたいと考えています。

結びとなりますが、コロナ禍に加え、さまざまな課題に取り組みつつ、社会インフラである物流を支えている皆さまにあらためて敬意を表します。本年が皆さまにとりまして充実した一年となりますよう、また、皆さまにとりまして幸多き年となりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

一般社団法人日本倉庫協会 会長 久保 高伸