【第19回物流フォーラム】人と倉庫 ~技術進化がもたらす変化~

2022年10月15日

物流フォーラム

日本倉庫協会 物流フォーラム実行委員会(松本年可 実行委員長)は、11月18日(金)午後1時より、東京・大手町の経団連会館で、第19回物流フォーラムを開催することといたしました。

1.全体会(13:00~15:20)

基調講演

(1)演題:『AI×コロナ時代の戦略的生き方のすすめ』

(2)講師:「朝礼だけの学校」校長 藤原 和博(ふじはら かずひろ)氏

(3)講師プロフィール

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08~11年橋下大阪府知事特別顧問。16年から2年間奈良市立一条高校校長として生徒個人のスマホをWi-Fiに繋いでフルに授業に活用。アクティブラーニングの手本となった「よのなか科」が『ベネッセ賞』、「地域本部(現在は地域学校協働本部として全国の公立学校の7割に波及)」が『博報賞』、食育と読書活動が『文部科学大臣賞』をダブル受賞し一挙四冠に。

著書に『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)があり「人生の教科書作家」とも呼ばれる。ビジネス系では『リクルートという奇跡』、和田中改革ドキュメント『つなげる力』(共に文春文庫)。教育系では『父親になるということ』(日経出版)、『僕たちは14歳までに何を学んだか』(SB新書)、共著に45万部のベストセラー『16歳の教科書』(講談社)がある。

人生後半戦の生き方の教科書『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』(ポプラ社)は12万部を超えるベストセラー。キングコングの西野亮廣氏絶賛の『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』(東洋経済)、ホリエモン絶賛の『10年後、君に仕事はあるのか?』(ダイヤモンド)、ちくま文庫で藤原和博「人生の教科書」コレクションがスタート。2020年、デビュー作『処生術』も復刻。

2.分科会(15:40~17:30)

第1分科会

(1)演題:「地に足の着いた現場改善の具体策」

(2)講師:株式会社湯浅コンサルティング コンサルタント 内田 明美子(うちだ はるこ) 氏

(3)講演要旨

近年、物流DXという言葉を耳にしますが、大がかりなシステムを導入するには多大な費用がかかるなど、ハードルも高く、企業によってはなかなか取り入れづらいところがあります。そこで、当分科会では大がかりなシステムに頼らず、ハード・ソフト両面で取り入れやすいものを提案したいと考えました。

本講演では、倉庫の保管・作業現場の課題とその改善のための施策について、昨今の経済規模の縮小と生産年齢人口の減少、働き方改革の進展、SDGsへの意識の高まりなどの環境変化をふまえつつ、倉庫事業者の皆様に役立つ具体策を紹介いたします。

①改善策:ハードとソフト両面の活用

・最新技術をふまえて作業の自動化・機械化をすすめるハード面の取り組み

・データを活用して作業管理や在庫管理のレベルを向上させ、より高い精度で無駄をなくしていくソフト面の取り組み

②取り組み:大がかりな投資を前提とせず、少ない予算でも工夫次第で取り組めるもの

・作業を補助するパワー・アシストスーツやAGV(自動搬送機器)の活用等

・作業生産性の見える化を図ることで業務の安定化・平準化を目指す

・作業効率化の観点より、過剰在庫について分析を行い、荷主に対し適正在庫の提案を行う

③改善のゴール:各種取り組みの導入、強化により倉庫業務の安定化・効率化を図る(事例紹介)

・各事業者が実施可能な取り組みを推し進めることで業務の無駄をなくす

・自社での改善努力に加え、荷主への協力を求めることで両社における利益向上を追求する

・現行業務の料金形態について内容を検証し、自社の利益確保のため必要に応じ料金の値上げを提案する

(4)講師プロフィール

慶応義塾大学経済学部卒、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)、日通総合研究所を経て2004年より現職。物流コスト削減、物流センター管理、在庫適正化に係る調査研究とコンサルティングに従事。日本倉庫協会、全国通運連盟、各トラック協会ほかの業界団体やシンクタンクの教育研修プログラムに出講し、民間企業での研修実績も多数。運輸総合研究所運営委員、総合資源エネルギー調査会省エネルギー小委員会荷主判断基準ワーキンググループほかの委員を務める。

『図解でわかる物流とロジスティクス いちばん最初に読む本』(アニモ出版)、『在庫管理の基本と仕組みがよくわかる本』(秀和システム)ほか著書多数。

第2分科会

(1)演題:「EC物流ビジネスの成功事例とノウハウ」

(2)講師:株式会社スクロール ソリューション事業セグメントオフィサー 株式会社株式会社スクロール360 常務取締役 高山 隆司 氏

(3)講演要旨

近年、インターネット通販市場はさらに加速している様相を呈しています。本年4月に経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、令和3年の日本国内のB to C-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、20.7兆円(前年19.3兆円、前々年19.4兆円、前年比7.35%増)に拡大しています。また、令和2年の日本国内のB to B-EC(企業間電子商取引)市場規模は372.7兆円(前年334.9兆円、前々年353.0兆円、前年比11.3%増)に増加しました。これは、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要の増加による影響もありますが、消費者の外出機会が徐々に回復してきた昨年においても市場規模が拡大しているところを見ると、ECの利用が消費者の間で定着しつつあることが伺えます。こうしたことから、同市場へビジネス参入する倉庫事業者は今後も増え、競争も激化することが予測されます。

そこで当分科会では、通販物流一筋36年、年間流通総額1,300億円以上、物流センター総面積60,000坪以上を有し、月間出荷件数150万件以上を誇る通販プロフェッショナル集団の株式会社スクロール360から常務取締役の高山隆司氏をお迎えすることといたしました。

高山氏のご講演は、通販物流に深く精通された経験に裏打ちされたものであると同時に動画や写真等を使用しながら自社の技術を分かりやすくご説明いただけることから、今後ビジネス参入を検討する倉庫事業者や現在参入している倉庫事業者でシェアの拡大を図りたいなどの課題を抱えている倉庫事業者にとってもヒントとなると考えておりますので、是非ともご参加下さい。

(4)講師プロフィール

1981年 スクロール(旧社名ムトウ)入社以来、41年にわたり通販の実戦を経験。2008年、他社のネット通販企業をサポートするスクロール360の設立に参画。以後、200社を超えるネット通販企業の立ち上げ、コンサルティング、物流受託を統括。著書に「ネット通販は物流が決め手!」、「EC通販で勝つBPO活用術」(いずれもダイヤモンド社)がある。

第3分科会

(1)演題:「技術進化への追随と情報セキュリティの共存」

(2)講師:株式会社ラック IT戦略部 ICTイノベーション推進室 アドバンストグループマネジャー 谷口 隼祐 氏

(3)講演要旨

IT技術の進化により業務効率や生産性が向上し、少人数で仕事を遂行する環境が手に入るようになりました。業務形態によっては、働く場所の自由度があがりました。その裏ではアナログからデジタルへの移行が進んでいます。IT利活用はデジタルデータの利活用です。現実世界とサイバー空間がシームレスにつながる世界に変わりつつありますが、ここに新たなビジネスチャンスが眠っています。それ故にデジタルデータの価値が高まっています。

DX化・自動化の文脈で語られることも多いIT利活用ですが、恩恵を受けるのはサービス提供者や利用者のみに留まらず攻撃者も対象です。攻撃者も積極的に自動化を行っていて、被害を受けて活動に支障をきたす組織も増えています。令和4年に警察庁が公表した「令和4年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」では、デジタルデータを人質に金銭を要求するランサムウェアの被害が右肩あがりで増加している結果が掲載されています。デジタルデータの価値の高まりは皮肉にもサイバー犯罪の増加にも繋がっています。

IT利活用はビジネスチャンスでもありますが、サービス設計や設定に問題があればサイバー攻撃の被害にあうリスクが高まります。戦略的にIT利活用を行うために、最低限必要なセキュリティ対策について解説します。

 (4)講師プロフィール

2006年に株式会社ラックに入社。独立行政法人情報処理推進機構(略称IPA)にて脆弱性届出業務やセキュリティ10大脅威執筆などの普及啓発を経て、自社の研究部門に従事、その後コンサルティングなどを行い、今に至る。現在は、自社の情報システム部門の堅牢性かつ柔軟性向上のために活動。

その他活動

茨城県警察情報セキュリティテクニカルアドバイザー(2017年~)

IPA試験作成委員(2019年~)

独立行政法人のCISO補佐業務(2018年~)

第4分科会

(1)演題:「経営者は自然災害にどこまで備えなければならないか? -東電13兆円株主代表訴訟東京地裁判決を題材に-」

(2)講師:潮見坂綜合法律事務所 弁護士 笠野さち子 氏

(3)講演要旨

東日本大震災から11年が経過した本年7月、東京電力福島第一原子力発電所の事故に関し、東京電力の元役員らに対し、13兆円という国内最高額と見られる損害賠償責任を認める判決が下されました。同判決については、贈賄や粉飾といった犯罪行為が問題とされたものではなく、原子炉の安全性の確保という専ら経営者の経営判断の範疇に属する事項を問題とするものであるにもかかわらず、ある専門家からリスクを示された場合(本件の場合は地震調査研究推進本部から公表された「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」等による10mを超える津波の襲来)に、役員がこのリスクへの対応をしていなかった限り、役員個人が巨額の損害賠償責任を負うことを認めるようにも読めます。しかしながら、同判決については、経営者の経営判断に幅広い裁量を認める過去の判例・学説と軌を一にしているとは言い難いのではないかといった評価も見られるところです。

我が国において毎年のように発生する地震や、地球温暖化の影響もあり近年益々苛烈化する集中豪雨といった自然災害は、人の力で回避できるものではありません。にもかかわらず、これらの自然災害により生じた損害につき、経営者の個人責任が直接問われるというような事態となっては、役員の皆様としては、到底安心して倉庫業を営むことはできないということになってしまいます。

今回の講演においては、上記東京電力福島第一原子力発電所の事故にかかる株主代表訴訟判決の内容をご紹介するとともに、これが直ちに倉庫業を営む皆様の経営責任に敷衍されるものではないことをご説明申し上げます。これに加え、会社法上、いかなる場合に経営者の責任(任務懈怠責任)が認められるか、経営責任を問われないためには、経営判断においてどのような事項に留意しておけばよいか、またリスク管理体制としてはどのような体制を取っておけば足りるかを広くご説明申し上げます。

(4)講師プロフィール

2000年3月   京都大学法学部卒業

2001年10月  弁護士登録

2016年1月   霞門綜合法律事務所(現・潮見坂綜合法律事務所)開設

[著書等]

「上場子会社のガバナンスと親会社の対応」 ビジネス法務2019年11月号

「コンプライアンス・内部統制ハンドブックⅡ」商事法務(共著/2019)

「コンプライアンス・内部統制ハンドブック」商事法務(共著/2017)等

[講演]

「紛争局面における取締役の経営判断」

「役員の法的責任-コロナ禍での経営判断」

「役員責任訴訟から考える令和時代のグループガバナンス」等多数

3.懇談会 (17:40~19:00)

立食・パーティー形式での懇談会を予定しております。

4.申込方法

ご所属の地区倉庫協会までお問い合わせください。

※物流フォーラムは日本倉庫協会の会員事業者の方のみ参加が可能です。